September 10, 2008

【22世紀の時計】

貴方の時計、止まってん・・・。


止まってるんじゃない、止めてんだよ。


止めてるの?時計してる意味ないじゃん。


でも、1年に760回も時刻合うから、俺はそれでいいよ。


そんな屁理屈こねてないで、時計動かせばいいのに・・・。


なんかピンとこないんだよ。世紀が変わって、1秒あれば幸せが手に入るようになったじゃんか?それがなんとなく嫌なんだよね。みんな1秒で幸せになり、それをお城のように積み重ねようと必死だけど、俺は1秒幸せを味わったら、あとの23時間59分59秒は、風になびいていたいんだ。


時計は止まっても、風は止まらないのね。


哲学的なこと言うね。





風になびく自分の白髪が、長年連れ添った妻の頬をなでた。

もはやお互い夫婦だという意識ははるか昔の地へと羽ばたき、唯一二人を繋ぐはずだった金婚式のときの時計は止まっている。

そのせいか二人の会話は若い。



チッ。



秒針が一歩歩いた。

そう、私たちの人生は1秒そのものなんだと時計が教えてくれた。

時刻と時計がまた合った。

217回目だったと記憶している。


kaninoasiha at 11:25|PermalinkComments(0)この記事をクリップ! 【Short Story】